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G3七夕賞
今週の日曜福島では波乱のハンデ重賞「G3七夕賞(芝2000m)」が開催。
過去10年の同レースで馬券に絡んだ30頭のうち17頭が5人気以下。
さらにその17頭のうち9頭が2桁人気という爆穴激走重賞でございます。
ここでは、七夕賞で穴をあけた馬の血統傾向を中心に分析を進め、今年の穴馬
候補を絞り込む材料と致しとうございまする。
福島芝2000mコースの特徴
福島コースと言うと「平坦」のイメージを持たれる方も多いようでございますが
実際には上図のように起伏に富むコースでございますな。
スタート地点は4コーナーのポケットからとなり、下り坂スタート。
そのため、前半のペースが上がりやすくなり、道中で脚をタメて直線で発揮するトップスピードの高さよりも、スタートからゴールまでの一貫したスピードの持続力を求められる傾向が強くなるコースでございまする。
またコースが狭く、コーナー角度もタイトであるために、小回り適性も重要。
つまり、テンから速い流れで展開し、ゴールまでスピードを落とさぬ持続力が
重要になり、さらにコーナー角度の小さい小回り適性も求められるコース。
これは、米国の競馬に通じる適性で、福島芝2000mでは米国型の血統が好走のカギとなります。
さらに馬場が渋れば、これに加えて欧州的な重い馬場でもバテずに伸びるスタミナ(持久力)も求められることとなり、日本の主流血統である「サンデー系」の血が絶対ではない「非主流」のコースと申せましょう。
良馬場なら米国型血統が強く、雨馬場になるとさらに欧州的な要素も併せ持つ馬が穴をあける。
これが福島2000mのさっくりとした血統傾向でございますな。
七夕賞の穴馬血統分析
さて、それでは実際に七夕賞で穴をあけた馬達の血統を調べて参りましょう。
2019年 12人気3着 ロードヴァンドール
この年の馬場は「稍重馬場」発表。
ネット競馬さんの馬場指数は「+5」と言う数値で、通常よりも少々重めの馬場と言う判定の馬場でございました。
父は持久力と底力の象徴とも言える「ノーザンテースト」を持つサンデー系種牡馬ダイワメジャー。
母父は米国型ストームバード系
ちなみに、母のジャズキャットは、種牡馬タバスコキャットの全妹ですな。
祖母の父は、欧州型リボー系。
リボーと言う馬は現役時代16戦全勝。
その勝ち星には「凱旋門賞」「キングジョージ」と言った欧州のBIGタイトルも含まれており、欠点の無い「完璧な競走馬」でございました。
日本では父系としては存続できませんでしたが・・・
母系に入ってマンハッタンカフェ、キンシャサノキセキ、ナカヤマフェスタなどのG1ホースを輩出しております。
リボーの血は、母系からスタミナと底力を補完する役目を担う血。
また、レースの格(グレード)が高くなるほど穴をあける傾向が強く、これはもう伝統と言っても過言ではない程で、ナカヤマフェスタも宝塚記念で穴をあけ、14人気で天皇賞を勝ったヘヴンリーロマンスも祖母の父にリボーの血を持っておりました。
2018年 11人気1着 メドウラーク
この年の馬場は良馬場発表でしたが、ネット競馬さんの馬場指数は「+3」で時計を要する良馬場でございました。
またRP指数が「41.3」という異常なまでのハイペースで展開し、
「一大消耗戦」となった年でございますな。
父は母系に欧州型グレイソヴリン系の中でも、特に「テンから飛ばす持続力」を求められる競馬に強いカロ系を持つロベルト系種牡馬タニノギムレット。
女傑ウオッカの父として有名な種牡馬でございますな。
ロベルト系の血は、スタミナとパワーを伝える血。
そして、リボーと同様に大一番であっと言わせるのがお家芸でもありますな。
相手強化で流れが厳しくなるほど、その真価を発揮する血でございます。
母父は米国型ヴァイスリージェント系クロフネ。
ヴァイスリージェントの血も、スピードの持続性を強調する血でございます。
同年 12人気3着 パワーポケット
父が米国型ミスプロ系の本格血統エンパイアメーカー。
母父には持久力血統の欧州型グレイソヴリン系フォルティノ系。
祖母の父は、母系に入ってスタミナと底力を産駒に伝える欧州型ニジンスキー系。
2017年 7人気3着 ソウルインパクト
この年は良馬場発表で、ネット競馬さんの馬場指数は「-7」と軽めの馬場。
RP指数は「45.6」のハイペース消耗戦でございました。
ソウルインパクトはディープ産駒。
ディープの牡馬で重賞で好走する馬には、大きく分けて以下のような3つのタイプがございますな。
1.花形タイプ
これは文字通り皐月賞やダービーと言ったクラシックで活躍できる早熟型。
ただし、このタイプはほとんどが古馬になると燃え尽きてしまい、G1では
馬券になれなくなります。
2.遅れてきたヒーロー型
骨格の成長が能力の高さに追いつくまでに時間を要する晩成型。
フィエールマンなどはこのタイプでございますな。
主に母系に欧州血統を持つ馬がこのタイプになりがちでございます。
3.B級ディープ型
このタイプはG1では足りないものの、G2やG3では何度も繰り返し穴をあけます。
特にハンデ重賞で穴をあけるタイプが多く、具体的には
・ヒストリカル
・カデナ
・サトノノブレス
・ダコール
などが該当致します。
もちろんソウルインパクトもこのお仲間。
また、ディープ産駒の特性として、
「昇級戦での重賞挑戦に強い」
と言う傾向がありますな。
この年の七夕賞はソウルインパクトにとって昇級戦の重賞で、2歳時にも
未勝利戦を勝ち上がったばかりで「G3東京スポーツ杯2歳S」に挑戦し、
9人気3着に激走しております。
G3・G2に出走するディープ産駒は、以上の点に気を付けてチェックする
と言うのが宜しいかと存じまする。
2016年 11人気3着 オリオンザジャパン
この年の馬場は「良馬場発表」ですが馬場指数は「-2」と標準的な時計の馬場でございました。
RP指数は「43.5」と言う数値で、超ハイペースの消耗戦。
父は米国型ヴァイスリージェント系クロフネ。
持続力血統でございますな。
母父はサンデーサイレンス。
祖母の父には欧州型グレイソヴリン系トニービン。
スタミナとパワーと持久力を強化する血でございますな。
曾祖母はノーザンテースト産駒。
ノーザンテーストは母系に入って持久力や勝負根性を伝える血でございます。
ちなみに・・・ドゥラメンテ、ショウナンパンドラも曾祖母にノーザンテーストを持っておりました。
このように、父か母父に「米国型血統」を持つ馬が激走を繰り返すのが七夕賞。
馬場によっては、スタミナや持久力を補完する「欧州血統」も重要になりますな。
今週の福島競馬場付近の天気予報は雨と曇りのオンパレードで、それなりに
タフな馬場状態が想定されます。
次回のレポートでは、その辺りも考慮しながら、今年の注目血統馬に迫って参りまする。
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