今週の日曜京都11Rで、古馬のマイルG1
「マイルチャンピオンシップ」(芝1600m外)
が開催されまする。
国内の古馬のマイルG1は「安田記念」と、
このマイルチャンピオンシップの2鞍のみでございますな。
そして過去10年で、両方を制したのは「モーリス」だけ。
安田記念の優勝馬はマイルチャンピオンシップで苦戦し、
マイルチャンピオンシップの優勝馬は、安田記念で苦戦する。
同じマイルG1でありながら、何故にこうまで
2冠を達成する事が難しいのか・・・
それぞれのレース質と、求められる能力の違い
を知る事で、危険な人気馬に惑わされる事無く、
的中に近づく事が可能となるのでございますな。
ここでは、過去10年のマイルチャンピオンシップ優勝馬の
血統・実績などから、今年の優勝馬を探って参る所存でございます。
ニックス別集計
ニックス | 着別度数 | ||
---|---|---|---|
ディープ系 | × | ダンチヒ系 | 1- 2- 1- 3/ 7 |
ダンチヒ系 | × | サンデーサイレンス | 1- 1- 0- 2/ 4 |
ディープ系 | × | ノーザンダンサー系 | 1- 0- 1-11/13 |
Pサンデー系 | × | ノーザンダンサー系 | 1- 0- 1- 7/ 9 |
ディープ系 | × | ミスプロ系 | 1- 0- 0- 7/ 8 |
ストームバード系 | × | ヘイルトゥリーズン系 | 1- 0- 0- 1/ 2 |
ストームバード系 | × | ノーザンダンサー系 | 1- 0- 0- 1/ 2 |
キングマンボ系 | × | ノーザンダンサー系 | 1- 0- 0- 0/ 1 |
ロベルト系 | × | ノーザンダンサー系 | 1- 0- 0- 0/ 1 |
グレイソヴリン系 | × | ノーザンテースト系 | 1- 0- 0- 0/ 1 |
集計期間:2009.11.22 ~ 2018.11.18
ご覧の通り、勝ち馬10頭中9頭が、
父または母父にノーザンダンサー系を持っておりました。
唯一の例外となる「トーセンラー」も
父母父と母母父の両方がノーザンダンサー系
という配合馬でございました。
マイルチャンピオンシップの「鬼門」
とも呼べる血統が「父がTサンデー系種牡馬」
でございますな。
↓↓↓
種牡馬系統 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
---|---|---|---|---|
Tサンデー系 | 0- 1- 0-24/25 | 0.0% | 4.0% | 4.0% |
集計期間:2009.11.22 ~ 2018.11.18
馬券になったのは、2010年1番人気2着の
ダノンヨーヨーだけという有様で、
4番人気以下のTサンデー系種牡馬産駒は、
問答無用で切り捨て御免!でよろしかろうと存じまする。
過去10年の勝ち馬10頭の内、7頭に
「1800m以上の重賞で連対実績」がございました。
そして、例外となった
・ミッキーアイル
・モーリス
この2頭は、祖母が長距離重賞ウイナー。
・エイシンフォワード
母系に長距離実績はありませぬが、
母母父が「凱旋門賞血統」のブラッシンググルーム系
という牝系でございました。
つまり、1800m以上の重賞連対実績が有るか、
母系に長距離重賞実績のある血が入っておる事。
これが勝ち馬の条件であると考えても
差し支えはございますまい。
それでは、ここまでに挙げた条件を「ふるい」として
今年の出走登録馬を検証して参りましょう。
・両親のどちらかがノーザンダンサー系
・4L系統に複数のノーザンダンサー系
上記のいずれかに該当する馬は以下の8頭。
※父がTサンデー系種牡馬のカテドラルは対象外。
・エメラルファイト
中山1800mのG2スプリングステークス1着。
クロフネ×スペシャルウイークという配合で、
この配合は、2015年の12着馬クラリティスカイ
と全く同じ配合でございますな・・・(;・∀・)あかんやろ・・・
・ダノンキングリー
ダービー2着馬で、前走は毎日王冠(東京1800)1着。
ディープ×ストームバード系という配合。
若干気になるのは・・・
母系はストームバード系×インリアリティ系という
短距離スピードに特化した配合でありますなぁ・・・
半兄はダートのG1スプリンター「ダノンレジェンド」
というのも、安田記念に向きそうな近親戦績。
さらに、2017年までは、斤量差が1㌔しか貰えない
「3歳馬不利」と言うのが常識だったレースで、
ディープ産駒も、3歳馬に限れば3着が最高成績。
加えて・・・
「距離短縮ローテ」のディープ産駒は
↓↓↓
ディープ産駒 前走距離別集計
前走平地距離 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
---|---|---|---|---|
今回短縮 | 1- 0- 2-18/21 | 4.8% | 4.8% | 14.3% |
集計期間:2011.11.20 ~ 2018.11.18
強さは十分に認めた上で、アタマ無しのヒモ候補
と言うのが拙者の「妄想」でございまする。
・ダノンプレミアム
「ディープ×ロベルト」の配合で、4L系統に
2本のノーザンダンサー系を持っておりますな。
距離実績も、2000m重賞で2勝しており
申し分ございませんなぁ・・・
この馬の不安材料は2つのローテーション。
一つ目は、距離短縮ローテ。
これは先述の通り「ディープ産駒の鬼門」ローテ。
そして最も危惧すべきは、「中2週」という
詰まったレース間隔でございましょう。
ディープ産駒は非常に反動大きい傾向が強く、
前走が休み明けでアーモンドアイの2着に好走。
中2週では、「上積みの期待」どころか反動が
はるかに大きな不安材料でございますな。
・フィアーノロマーノ
安田記念で「爆穴軸候補」に推奨し、
2桁着順でございましたなぁ・・・(*_ _)
父がダンチヒ系のスプリンター「ファストネットロック」
母系は「ストームバード系×ボールドルーラー系」という
これまた短距離志向の強いスピード型配合。
この配合に期待しての安田記念「穴軸」としましたが、
アエロリットの刻む「速く緩むところの無いラップ」
に追走で手いっぱいと言った状態で競馬をしておりませんでした。
戦績を見ると、距離短縮の1400m戦でも大敗しており、
この馬はファストネットロックの異端児「モシーン」と
同じように、マイル以上の距離が向くタイプであるのかも・・・
と、またもや妄想が沸き上がって参るのでございます。
間違っても、勝つ事はございますまいが、
今年のメンバーを見渡せば、ハイペースは考えづらく、
追走が楽になるようであれば、自分の競馬をして
それなりの所に来る可能性は否定できますまい。
・プリモシーン
ディープ×ダンチヒ系という配合は
マイルチャンピオンシップの黄金配合
↓↓↓
ニックス | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
ディープ系 | × | ダンチヒ系 | 1- 2- 1- 3/ 7 | 14.3% | 42.9% | 57.1% |
集計期間:2009.11.22 ~ 2018.11.18
母はファストネットロックの異端児
「モシーン」でございますな。
モシーンの戦績は
芝1600mのG1を2勝。
芝2000mのG1を1勝。
芝2500mのG1を1勝。
ダンチヒ系の血は、「平坦コース」に強い血で、
それゆえ、マイルチャンピオンシップの
ニックス配合上位にランクインしておるのでございましょうな。
とは言え・・・
マイルチャンピオンシップは牝馬に厳しいレースだけに、
強気になりづらい所ではございますが、3歳馬不利説が
覆った前例もございますれば、ビュイック殿の手綱に
期待したいところでございますな。
・ペルシアンナイト
ダンチヒ系種牡馬ハービンジャー産駒。
母父がサンデーサイレンスというニックス上位配合馬。
昨年2着、一昨年優勝と、適性は証明済みで、
あとは、能力的な衰えが無いかどうか?
という事だけでございましょう。
・モズアスコット
前走で、ようやく長いトンネルから脱し、
前走スワンSで2着と頑張りましたな。
ただ、前走は得意距離への距離短縮で、
今回は延長ローテでの参戦と相成りまする。
安田記念を勝っておるように、
本質的には「スプリンター型マイラー」で、
マイルチャンピオンシップとは真逆の適性の持ち主。
・レッドオルガ
ディープ×ノーザンダンサー系の配合馬。
自身の戦績はマイルG3で2着・3着。
母は芝中距離重賞で好走し、叔母のエリモシックは
エリザベス女王杯勝ち馬でございますな。
条件的にはクリアしておりますが、
いかんせん、能力的にG1でどうこうなるようには
思いにくい存在でございましょう。
今年こそ、牝馬の優勝に期待したいですなぁ。
プリモシーンには重い印を回す予定でございます。
最後に、人気の一角を担うであろう
インディチャンプの評価について簡単に触れておきまする。
血統は、
父 ステイゴールド(Tサンデー系種牡馬)
母父 キングカメハメハ
血統の字面からは、スプリント型には見えませぬが、
牝系実績は明らかにスプリンター型でございますな。
半妹は1200mのリステッドを勝ち上がり、
伯父には
1200m重賞ウイナーアイルラヴァゲインと、
安田記念勝ちと阪神カップ(1400m)2勝の
リアルインパクトがおりますな。
ネオリアリズムの名前もございますが、
マイルチャンピオンシップ3着以前に
札幌記念(2000m)でモーリスを降し
優勝した実績を持っておりました。
インディチャンプは、前走1800mの毎日王冠で
3着に敗れており、「中距離重賞の連対実績無し」。
昨年の毎日杯(1800m)も3着に敗れており、
京都のG2マイラーズカップでは4着でございました。
この馬が、モーリスと同じだけ強いか?
と考えますと、ちょっと見劣るように思うのでございます。
3着ヒモの一角には加えておきますが、
重い印を打つ気にはなれぬ存在でございまする。
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